=二藍の章=
*サブタイトル名*
○二藍の章1・春嵐
○二藍の章2・いずれ来る日であった
○二藍の章3・刺客・2
○二藍の章4・不死鳥
○二藍の章5・心の行方
○二藍の章6・くちづけ


*この章で初めて登場する登場人物*
○二藍の章1・春嵐
最上
甲斐の数馬光成
影武者
最上の子

○二藍の章2・いずれ来る日であった
土竜(トープ)

○二藍の章3・刺客・2
朱雀の長老
ニの枝 山茶花
三の枝 水木
四の枝 空木

○二藍の章4・不死鳥
五の枝 辛夷
六の枝 梔子
七の枝 樒

○二藍の章5・心の行方

○二藍の章6・くちづけ




*故事・歴史・その他*
黒亀城(モデルはローマの大円塔の某お城)

玉こんにゃく

戦奴

安達ヶ原

黒塚

天鏡湖

白鶴閣

イナグヤ イクサヌ サチバイ

松山の姫だるま

露の国の大昔の女帝

磐梯山

雪灯篭



オセロ

ヒウチ灘

イルカ

播磨灘

トマト

キャベツ

いんげん

淡路島



黄土隊


*名言*

*セリフ集*
「河童じゃないのか?」

「好きな人以外の裸なんて ヘチマかキュウリよ」

「おまえじゃない」

P154の6コマ
「ちょっとあんただれ そこで つりなんかしてちゃダメだよ」
多聞「えー すまんだす」

今帰仁「王がいなくなるっていうのに みんな 喜んでる」
朱理「王は…」
今帰仁「朱理?」
朱理「王は なくてもいい」
今帰仁「(声が…震えた…?)泣くなよ 泣くなよ
    おまえの存在価値は 王だってことだけじゃないからな」
<朱理、きりっと見つめ>
朱理「あったり前だ 阿呆め 泣くなよ」
<泣いてるのは今帰仁>

<水で清め、正装し> 
市松「おまえは来るな 1人だ
   主殺しに行くんだから
   俺の役目はそうですね 紫の上
   だから 始めから 俺をタタラ側につかせた」
紫の上「市松…
    あの人を 頼みます」
市松「はい」
<市松、清正と手を合わせ>
菊音「お市さん お市さん ちょっと
   初めから 死ぬ気で行くことはないと思うよ
   心中する価値なんか 黒の王にあるの!?」
市松「それでも 長いこと世話になったしな」
菊音「いやだよ いやだよ やめようよ」
市松「革命の功労者と呼ばれるか
   主殺しの大罪人と呼ばれるか
   なかったことにされるのか
   先の時代が楽しみじゃん」
<市松が菊音のおでこに口付けをする>
朱理「意外と古風な男だな
   まだ見るべきものが この先に山とあるぞ」
市松「ご協力 感謝する 赤の王
   あとはこちらに任されよ」
朱理「よそ者は 口を出すな…か やるな
   紫の上 あなたも怖い人ですね
   数馬を逃がさず あの場で 捕らえていれば
   静かに黒の王を囲んで お縄にできた
   それを逃がした 戦になる 黒の王を殺さざるをえなくなるというわけだ」
紫の上「あの人は でしゃばるわたくしがうっとうしかったんです
    小賢しい女は疲れると言って」
朱理「嫁は賢いほうがよかろう
   できた妻が重荷になるのは
   自分に自信がないからだ
   あなたのせいではない
   だが 王妃だからできたこともある
   これからは あなた個人の力量を問われることになろうよ」

市松「愛馬よ オレが下りたら すぐにここを離れろ
   飛騨の市松 行くぜ」
遊山「朱理よ あんたは 恐ろしいかけをした
   黒の王が おとなしく引き下がるなら
   何も起こらない
   しかし 戦いになったら 雪像の重みですでにギリギリ
   そこを多くの人馬が走れば…」

市松「黒の王よ 数馬よ 驚くな 今度のことは
   タタラが曲を書き 赤の王が指揮棒を振ったんだ
   けどな 楽器の音を出すのは この地で 生きてきた オレたちだあっ!」
数馬「市松!!」

太郎「なんやろ 祈りたい気分や」
揚羽「祈ってやれ 気持ちが天を動かす」
市松「ああ… 沈んでいく 鎧が重いからだ
   オレは どうして 沈まない」
<と思ったら、菊ちゃんが得意の発明品で市ちゃんの腕を掴んでました>
<で、ユウナも落ちかけていたので、今帰仁が引っ張り出しています>
今帰仁「ユウナ」
ユウナ「ひゃー ちべたーい あ ありがと 今帰仁」
朱理「志麻 捕まれ ご苦労さん」
<切ない顔をしてる志麻ちゃん… この色男!>
菊音「ユウナさん お市さんは」
ユウナ「体温が下がって 出血が抑えられてるわ」
菊音「温めなきゃ」
ユウナ「あとよ 手当てが先!
    寒い地の民間療法にあるそうよ
    冷たい仮死状態にして
    治療する方法が」
菊音「息をしてないよ」
ユウナ「大丈夫 戻すわ!」 菊音「お市さん」
市松「嫁に来いよ」
菊音「やだよ」

「天鏡湖に沈んだら 二度と上がらないそうよ」

「(不吉ナ刀デ―――
 何ヲスルンデスカ
 ダレヲ斬ルンデスカ
 ソノ刀デ)
 なあ 揚羽よ おまえかて 幸せになってええんやで
<幸せそうな顔をする揚羽>
 まあ なんでもやんなはれ あとで伝記に書いたるよって」

桜田「みんな カン違いしてたのよ
   オレたちゃ 碁を打ってたのに
   タタラがしていたのは オセロだった
   はさまれた連中がそろって ひっくり返されたのさ」

「申し上げます 紫黒で何やら 一大事が」
「しこく? 四国のことなら 橘さまに申せ
 これより 四国との戦に発たれるところだ そろそろ出発だ」
「ああ!ではもうお耳に入っているので!」
「もちろんだ」

更紗「イルカいるか?」

那智「わいな わいな 小っちゃい時
   鯨に飲まれるとこやってんけど
   白いイルカに助けてもろてん
   そいつ ちゃうかな」
聖「ほやからそれ 夢やて 白かったら おんなじかい」
那智「ちゃう 夢とちゃう あいつやて」

揚羽「ああ 体が2つほしい」
ナギ「どうしました らしくない」
揚羽「ふー もうトシかな」
ナギ「落ち着きたいと思うのは トシのせいでなく
   だれかのそばにいたいと願うからでしょう」
揚羽「へん オレはまだ あんたを許したわけじゃねえぜ」
ナギ「そうですか」

ナギ「あ タタラ」
更紗「はい ナギ?」
ナギ「愛着のあるものを 捨てる時は
   潔くすることです
   しがみついて大切なものを失わないように」
更紗「…? はい…?」

那智「昔 会うたやろ せんでもええ そんなこと せんでもええんやで」

更紗「那智の息はどれくらい続く!?」
聖「人よりは 長いけどな けどもう…」
更紗「10秒待って上がって来なかったら わたしが行って イルカを殺す ごめんイルカ」
聖「……あんたが言うとはな オレのセリフやで」
更紗「させないよ (つらいことばっかりさせない)」
<水面から泡が>
「那智!?」

水木VS聖&那智

空木VS茶々&座木

辛夷VS角じい&ハヤト



「わ――っ タタラ!?」
「マストが倒れる 何をするんですっ」
「タタラ」

「あきらめがつくだろうが!
 一緒になんか沈めてやんない
 心中なんて許さない 聞け!
 (船が悲鳴を上げてる 逃げろって言ってる)
 みんながこの船を愛してて 船もきっとみんなが好きで
 船が みんなを道連れになんかしたくないと思う」
正太「タタラ…」
「さっさとしないなら こっちもそっちもぶった切る」
「タタラ わかった わかったよ
 みんな いいな タタラにこんなことさせたくないだろ」
「わ…わかりました」
「はい」
「小船を降ろせーっ」
飛車「任せて下さい」
更紗「(正太… 飛車) ごめんね (朱理だったら もっと言い方を知ってるんだろうね」
朱雀の長老「ようやった あんたの気持ちは伝わったぞ」
更紗「朱雀の長老 みんなの避難が終わったら 力を貸して下さい
   ただで この船を沈めるもんか」
朱雀の長老「もちろんじゃ」

梔子VS揚羽

聖「このままいてたら あんたも心中やな」
那智「自爆したヤツもヤッちゃけど おのれら 死にたがりか」
水木「君たちもおなじようなもんでしょう」
那智「ちゃうわ ボケ
   タタラと心中らせえへんで わいら 自分とこのために
   ここにいてんのや!」
「ええ感じに生きてきたいよって
 いてんのや ボケ――」

茶々「ええい 身の軽い 手間のかかるヤツだね」

茶々「あんた 時間かせぎ してるのかい」

空木「僕らの役目は ウデの立つ側近を タタラから引き離すことだからね」
茶々「それはずいぶん あの子を甘くみたね
   あの子は いつだって 自分でなんとかしてきたんだ
   あたしらが寂しいほど 一人で――
   守られてたのは あたしらのほうだ」

角じい「若造よ あんたらは夢を持ってるかね
    わたしはね 北陸の猟師町に生まれたんだよ
    ひどい所でね 黒の王に反抗するグループを作ったんだ
    網走刑務所にも送られたよ
    必死の思いで脱走して さまよった 歩いたよ 幾日も
    そこで見たのは どこも同じすさんだ光景だった
    わかるかね 欲しかったのは ただ 平穏で暖かい 心豊かな暮らしだ この国にはそれがなかった」

牛飼い「イヤです おいていけません」
更紗「残ってる船を出して」
「それじゃ あなたがたの乗る船が」
更紗「大丈夫 泳ぐから 泳ぎついたら ミルクを飲ませて」

千手「なんです わたしも鬼ではありませんのよ」
更紗「あ…ありがとうございます ヤケドしませんでしたか」
千手「いえ」

千手「どうして あんなに落ち着いているのかしらね」
まーくんのおばさん「あなたも 前よりはぐっと落ち着いていますよ」
千手「え?」
まーくんのおばさん「守るものがあったら 人間そりゃ強いもんでしょう」

浅葱「どうせ 信用なんかしてなかったでしょ?
   やっかいなヤツだと思ってたくせに」
更紗「思ってたけど…仲間だと思ってた
   蒼の王だとしても 今は仲間じゃないの…?」
浅葱「バカじゃないの?」

那智「なぞなぞを出す!」
   頭は三角 胴が長くてにょろにょろで くねくね
   模様がまだら 咬まれたら死ぬ!
   さてなんでしょう」
聖「なんでしょう」
水木「バカか」
「あっ それがあんたの後ろに 足元に迫ってる 危ない!」
水木「そんな手にのる…」
<細長いものが…>
水木「(蛇!?)」
「スキあり」
群竹「あなたがた 山奥じゃあるまいし そんな手が通用しますか」
「群竹さん! なんや 都合よう蛇が出たと思たら ロープ投げてくれたんやー ありがとー なんちゅう ええ人なんやろ」
聖「通用したがな 行くで!

揚羽「死人に口無シ」
梔子「あなた 舞ってるみたいですね
   でも あなたにも 死相が出てる…」
揚羽「大きなお世話だ」

更紗「(家を焼かれ 船を焼かれ それでも きっと止まらずに行く)
   おかげでわかった 船で戦う時期は終わったんだって
   京都まで 陸を行けばすぐだ…って
   (すぐそこに…)
朱理「更紗 こっちだ」
   (朱理が手を引いてくれる)
   (あたしは死なない 時代を 見届けるまで)」

浅葱「(時代)」

朱雀は炎の鳥 炎の中から必ず蘇る 不死鳥―――

浅葱「僕があんたを 沈めたくなる前に 上がれよ!」
浅葱「(朱理だったら 軽々とかついでやるんだろうけどさ)甘えないでよね」

浅葱「さわるな」

浅葱「2人っきりだよね
   ここがもし 無人島で 僕と2人っきりだったら どうする?

   考えないでよね バカバカしい ぼーっとしちゃってさ 寝てれば」

多聞「おじさん すっごい熱いんでねか?」
柊「熱い?」
多聞「体から火ィ吹いてるだよ ヤケドしたって知らねぇべ」
柊「タタラの手下か」

聖「浅葱と一緒ちゅうのが気に入らんな オレはなんか気に入らん」
那智「また 群竹さん どっか行ってもた
   わいはけっこう好っきゃで ぼっちゃんぽいのに 妙に苦労人なとことかな
   あいつのキライは 好っきゃねん」

「よらないで そんな血まみれの手で
 わたくしにさわらないで」
「大切な人を殺したその手で」

銀子「柿人 あなたを憎むわ
   父を憎む だから 死なせて
   死なせてよ」
柿人「それはどうか わたしが死んだあとに」

更紗「憎んでいるのか 憎みたいのか
   だけど許している もうとっくに それが許せない
   憎んでいるのと 愛おしいのは 同じところにある」

銀子「わたくしは待っていたの 待っていたのよ タタラ
   父を ――――国王を 殺してくれる人物を
   この王国を くつがえしてくれる者を
   タタラ あなたがやってくれるのかしら
   それとも 朱理?
   けれど 見きわめなければね 柊
   犬なのか 狼なのか 虎なのか 豚なのか 見きわめてね 柊
   飼い慣らせない 獣なら その時は…」

柊「不思議だ 恐らく ウデは立つはずなのに 殺気のカケラもない」
多聞「殺気を出したら 魚は釣れねえべ」
柊「なるほど その通りだ
  どうやら わたしには この島は 鬼門らしい」
多聞「オラ 多聞だ タイ食べるけ?
   明石のタイはうめぇそうだべ」
柊「柊だ タタラは恐ろしい部下を持っているな」
多聞「部下じゃねえべさ 友だちなのだす」
柊「なるほど」
多聞「さしみにしただす あたまやのこりは煮るのだす
   柊の葉っぱはとげとげだすが    年をくうと丸くなるていうだべな」
柊「丸くなるには まだ早くてね」

浅葱「そしてね 僕はその白の王に育てられたんだ
   僕はあの人がキライだった
   だって いつも比べるんだ 僕と 朱理を    朱理はかわいい 丈夫で強くて賢くて
   あなたもかわいいけど 朱理がかわいい
   うまいよね そうやってね 僕を手駒にしちゃったんだ
   僕をここに送り込んだのもね タタラを駒にしたいからだよ
   だって 国王を倒したあと 自分まで殺られちゃ 困るものね
   駒にならないなら 柊が来るよ でもその前に 僕が殺すけど
   白の王に協力しなよ
   でないと 殺すよ どうするの 殺すよ
<口づけをする>
   暴れないの? 朱理を思い出すって? 兄弟なんだよ 似てる?
   似てないよね 似てないよ あんなヤツとは
   どうして 朱理なわけ どうして 朱理がいいわけ
   どうして どうして? 一緒に行こうよ 僕と行こうよ」

浅葱「多聞!? どっからわいてきたんだ」

柊「世間に出て 何を学んでいるんです あなたは相変わらず
  心弱く 傷つきやすいだけの ただの子供です
  そして タタラ 多聞天に守護されるのは 虎の星
  決して 犬になることはない」

更紗「かつてないほど 静かだった
   強い人は 何人も見た
   恐ろしい状況も けれど 柊はそのどれとも違っていた
   水に沈んだ樹のような 静謐
   柊という樹を知らないけれど こんなふうなのかもしれない
   かないそうもない 少し…憧れた 熱のせいかもしれなかった」

柊も感じていた 技が足りぬ 心も体も 不安定
だが 生きてきた この時代を それが力
遅い…と感じた もう遅い だが

更紗「柊…いえ柿人さん あなたはうちの浅葱を傷つけた
   わたしたちの大切なふねも 沈めてくれましたね
   あなたに同情はするけれど 殺されるわけにはいきません
   (勝ち目はない けれど 逃げる場所もない
    だったら行け 行け! 倒せ)」

浅葱「おまえには殺させない」
更紗「浅葱」
浅葱「僕が殺すならともかく おまえにはやらせない ムボーだよ タタラ バカバカ」
柊「では ご一緒に」

浅葱「群竹!」
柊「おまえもか」
群竹「浅葱さま 逃げて下さい」
<菊音、参上>
群竹「鳥…!?」
柊「菊音か わたしの教え子はどいつもこいつも」

柊「若い者は濁流を好むか 出直しだ」
浅葱「柊… 僕を殺そうとしたな
   僕はその程度か ついでに殺しても かまわない 価値のない王族か」
柊「あなたになんの価値があります 価値とは ご自分で磨かれるもの」

浅葱「調子のいいこと言うなよ
   どうせ 地獄の底まではつきあってくれないでしょ」
更紗「もうとっくに地獄だよ でも みんながいる
   みんなが一緒なら 地獄じゃなくなる
   浅葱もそこに入ってるじゃない」
那智「その通りやで!
   泥の中のサファイアになったらええがな
   宝石は宝石の中やったら 光れへん 泥の中こそ 目立つんとちゃうんか
   ――て わしらは泥甲斐! これがツッコミやで 相方よ」

蒼の王であること それしかなかった ただ一つの証だった その血を呪いながらも