=赤銅の章=
*サブタイトル名*
○赤銅の章1・道
○赤銅の章2・卵の上を
○赤銅の章3・後継者
○赤銅の章4・緑の軌跡
○赤銅の章5・赤の奇跡
○赤銅の章6・罠
*この章で初めて登場する登場人物*
○赤銅の章1・
大工
外出禁止令を出した一条
蜂也
密
次郎
大猿
太郎の実家の人たち
八千代
萩原
三条卿
○赤銅の章2・
郵便係
○赤銅の章3・
橘
亜麻のお方
物を考えて働いている植木屋
○赤銅の章4・
○赤銅の章5・赤の奇跡
○赤銅の章6・罠
ボケボケじいさん
*故事・歴史・その他*
蓬莱山
琵琶湖
朧
お茶漬け
近江
破竹の勢い
津山峡谷
柘榴
「一頭のライオンが率いる千頭の羊は
一頭の羊が率いる千頭のライオンより
強い」
ナイチンゲール
王城―南大手門
防御壁
四条 井戸端
祇園
王家にへばりついて肥え太った神社仏閣
篠山
宝塚
蜃気楼
蓬莱山(富士・恐山)
桜
赤穂
*名言*
揚羽・太郎「(けれど ″行け″と ”誰も止めるな″と
心が言う それが わかるから 止められない)」
―名前に「タ」(タタラの「タ」)がつく者を見せしめにはりつけにしようとする三条卿を見て
揚羽「(そういう見せしめを行えば 人がタタラを憎むとでも思うのか
それほどに民衆をバカだと思うのか
なぜ 気づかない おまえらにとって 数でしかない人々が
一人一人違う人間だと
それぞれに人生があると
なぜ気づかない)」
人は自分の選んだ道でしか きっと走れない!
(目の前が狭いと当たり前のことを忘れる
その人を大切にできるのは 会っているその時だけ)
*キーワード*
―――あけぼのなるか
―――たそがれなるか
――月は朧に ただ白く――
京の都に 血の雨が降る――――――
石榴計画
―お茶漬けを食べる二人
揚羽・太郎「あのな」
揚羽・太郎「…いや」
太郎「(いつものおまえは)」
揚羽「(今までのおまえは)
揚羽・太郎「(外側から 全体を眺めてた)」
太郎「(中心に踏み込めは どうなるかは知っている)」
揚羽・太郎「(けれど ″行け″と ”誰も止めるな″と
心が言う それが わかるから 止められない)」
太郎「うまいやろ」
揚羽「ああ」
太郎「ほな 寝よか」
―布団が一組しかない―
太郎「おかあさん 布団をもう一組」
揚羽「オレは 別にいいぜー」
太郎「揚羽 寝たか?」
揚羽「いや」
太郎「聞いてもええか おまえみたいな風の民やと
故郷ちゅうもんはないのか?」
揚羽「土地とか 家とかに 執着はない
墓も造らんしな
風は 人に戻る」
太郎「そこでゆう「人」は タタラのことか?
なあ おまえの命を賭けられる女っちゅうのは結局…」
揚羽「それがいろいろで困る」
太郎「いろいろ?」
揚羽「おやすみ 太郎ちゃん
太郎「……おやすみ」
太郎「(こんな静かな夜は)」
揚羽「二度とないだろう
風は 人に届く 柔らかに吹け 彼女たち(タタラと千手)の周りを」
―回想―
「なあ ナギよ
タタラの仲間は 気のいい連中ばっかりだな」
ナギ「そうですね」
「その分人材がない
悪党になって 汚い仕事をできる人間が 必要な時もある」
「揚羽…」
「負の部分をオレにまかせて 陽の下を行け! タタラ」
―戦術の才能が見えてきた浅葱―
浅葱「ふう〜〜〜」
更紗「お疲れさま」
「うれしそうだな」
「うん わたしの言った通りだったでしょ
柊に「技のみ」と言わせるなんて すごいことだもんね
うちには「技」なんてなかった
浅葱の「技」はものすごい強みになる」
「ふ〜〜〜 あんたのプラス思考には 力も抜けるよ」
那智「気にせんでも 心・技・体 そろてる人間ら そういてへんで
んー まあゆうたら わいぐらいや」
浅葱「体だけだろ」
聖「(おれもそろてる)」
浅葱「タタラさ 全面的に僕を信用していいのかな どうしたのさ」
更紗「浅葱のことが少しわかったから」
浅葱「わかった?」
「怒らないでね ちょっとあたしに似てるかな…って」
浅葱「似てる!? 僕とタタラが!?
バカにしないでよ どこが!」
更紗「あたしも おにいちゃんの陰で育ったから」
浅葱「僕が朱理を うらやんで育ったっていうの
おまえなんかと一緒にされてたまるか!
そういうとこがキライなんだ いつも自己中で
わかったような口をきく!」
更紗「ごめん…いてて」
(素直に謝られて調子が狂う浅葱)
更紗「もっと怒ると思うけど
もう一つ 言っていい?
朱理もきっとあがいてると思う
心も体も何もかも 足りなくて 今は」
浅葱「朱理の話なんかしたくないね」
(更紗を蹴る浅葱 顔をしかめる新橋)
更紗「あたしはしたい ごめん」
浅葱「ふん(どっかに行く浅葱)」
更紗「しようよ 話…」
(濡れたタオルが顔にあたる)
浅葱「ケガ バイキン 入らないように洗いなよ」
更紗「ありがとう!
浅葱 もっと話しようよ
ケンカもしようね」
浅葱「ば―――か」
(それを見ていた那智と聖)
那智「屈折してるわ」
聖「生きにくいのう」
歯車が回り始める
京を中心に
赤い血を滴らせ…
津山峡谷
「冗談じゃないよ
ホントにこの絶壁を
馬で駆け下りろって!?」
(タタラはこの僕を 試す気なんだ)
(中略)
時間軸が移動
白の王からの密書をタタラに渡した浅葱に違和感を抱く聖
聖「オレらみんな 卵の上を 歩いてるよなもんや
割れてんのが 混ざってたら 困るやろ」
(中略)
「確かに僕は タタラを京都ではめようと思ってるんだ
内輪揉めも大歓迎さ
なのに 何を本気でイラついてるんだ 僕は」
郵便係「最近 京都にすごい暗殺者が現れたそうですよ」
更紗「役人を暗殺…!?」
ナギ「揚羽だと思いますよ」
更紗「ナギ 揚羽はそういうタイプじゃないよ
すごく誇り高い人なのに」
「誇りを持って 暗殺者になれる人でしょうね」
「何か…言ってたの」
(ちゃんと話せばよかった この間 会った時に
また会えると思って
もう会えないかもしれないなんて思わなくて
もう 会えないかも しれない…なん…て
どうして思えたんだろう
こんな時代にまた会えるとのん気に
会っている その瞬間しか ないのに
次はないかもしれないのに)
「揚羽の気持ちがあなたにはわかるはずです タタラ
たとえ 遠くに離れていても たとえ それぞれ 違う場所で朽ちて死んでも
あなたや彼らが 必ず全力で道を行く時
心と心は 同じ場所にいます
同じ時代に 同じ夢を追った それはまた 運命です」
「揚羽を信じてる いつでも」
「揚羽もあなたを信じていますよ」
(目の前が狭いと当たり前のことを忘れる
その人を大切にできるのは 会っているその時だけ)
茶々「こんな諺がある
一頭のライオンが率いる千頭の羊は
一頭の羊が率いる千頭のライオンより
強いって
タタラはどっちだろう?
あたしたちはどっちで
国王はどっちだろうね…」
ナギ「浅葱 あなたはもっとわがままになるべきでしょう」
浅葱「僕はわがままだと思われてると思うけど?」
ナギ「全然 わがままというのは 自分のために生きるということ
タタラはけっこうわがままでしょう?」
浅葱(タタラは僕を試す気なんだ
この崖から 命がけで 僕が駆け下りるかどうか 試したいんだ)
(中略)
(僕がこんなとこ 降りて行くと思ってるの
僕は白の王と一緒に タタラをつぶそうと思ってるんだよ
僕が降りなきゃ 下手すりゃ 全滅だよ
そんな賭けをするなんてバカだよ タタラ)
浅葱「(浅葱の後ろで控えている兵士に)なんで 早くしろとか言わないの」
兵士「浅葱殿の判断に従えと
タタラ様に言われています」
浅葱(でも僕が降りなかったら 負けるじゃないか
負ける!? 違う そんな賭けはありえない
試してるんじゃ ない…?
僕を 信用してるんだ
バカじゃないの!?
どうしてそんなにバカでいられる!?
蛇王にも親衛隊員にも 信用はされてたさ
何が違うのさ
僕はね あんたを京都で殺すんだよ タタラ
ああ そうだ だから まだ生きていてほしいんだよ
だからだ!」
更紗「浅葱 あんた えらいよ」
茶々「よくやった みんなもね おつかれさん」
ハヤト「ヒャッホ――浅葱バンザイ 馬がエライ!」
浅葱(やめろ…)
「度胸は認めちゃる」
更紗「浅葱 あんた 言ったよね
地獄までつきあってくれないくせにって
そんなとこつきあってあげない
もっといいとこに行こう
浅葱(やめろ…)
更紗「一緒に行こうよ」
浅葱(やめろよ そういうの やめろよ
おまえなんか 大キライだ 死んでしまえ タタラ
僕をボロボロにするから 大キライだ)
更紗「浅葱!?」
高熱で倒れる浅葱
浅葱「タタラー 水――
ももがたべたーい」
更紗「もも? 羊のもも? 馬のもも?」
「桃もしらないのか これだから イナカものはー」
ナギ「くす」
浅葱「なんだよ ナギ わがままにしろって 言ったじゃないか」
ナギ「別に わるいとは言ってませんよ くす」
茶々「ねえ タタラはさ 勇気ある羊だってのはどうだい」
座木「なんだ 羊なのか?」
茶々「誰かが寒い時は きっと毛皮を分けてくれるよ
それで あたしらも羊でさ テキを眠らすってのはどうだい?」
座木「茶々…」
橘「不満をぶつけ滅ぼすのは簡単でしょう 壊すだけなら
けれど それで どんな世が訪れます
大昔のような千々に乱れた世の中ですか
3百年 何もない 荒れ地から始めて この国を守ってきたのは王家です
続けることこそが 大切なことだってあるのです」
(中略)
「首は親父に送ってやる 往生せい!」
(寸止め)
「覚悟もなしに 来たとお思いか」
「死に場所がほしいのか 歴史上に燦然と輝くような 死に場所がほしいか 橘っ!」
橘「ほしいです 心から信じた王のために 誇りを持って死にたいのです」
朱理「帰れ 「最後の良心」西の橘 おまえのような部下がいるのに 親父は阿呆だな
オレにも昔 そんな部下がいた …帰れ
橘 王家の血などないぞ 王も奴隷も 血はただの血だ」
ナイチンゲールの噂を聞いた朱理、千草を見つけ…
朱理(更紗……?)
千草「手当て しましょうか?」
朱理「錵山という名に覚えはないか」
千草「さあ…」
朱理「家族はいるか」
千草「娘が1人」
朱理「どんな娘だ」
千草「かわいい子です 少々 お転婆で 負けず嫌いで 泣き虫で
苦しい恋をしているようです
すべて時代のせいでした それも もう変わります
2人の運命の子供が そのお手伝いをするそうです」
朱理「2人必要か」
(微笑む千草)
千草「1人では滅ぼしてゆくだけです
恨みを持つものが 多く残ります
あとに 禍根を残さぬよう すべてを終わらせることは 1人ではできません
大昔 ひどく憎んだ人がいました
けれど もう憎むことはやめたんです
謝ってほしいとも思いません
その人がどう生きるのか それを見ていきたいと思っています」
更紗についていこうとする菊音に
群竹「菊音」
菊音「群竹さん…」
「わきまえておきなさい
おまえが白の王の部下で 四君子の1人だとタタラに知れたら
今のようにタタラとはつきあえまい 菊…(と言う群竹さんを置いて行ってしまう菊音)」
那智「あれっ 群竹さん!?
神出鬼没やなあ」
群竹「…わたしも早くわきまえなければ…」
(顔に縦線がいっぱいの群竹さん)
聖「あれーむらたけさんやん」
「踏むな あなたたちは多くを持ってるから この緑の大切さがわからない!」
「多聞が先に来てるはずだが…」
「増長ー 釣れねえべー ここには魚がいないのだす!」
「こんなのでも 玄武の刀の継承者だ 許せ わしの苦労をわかってくれるか」
「よろすくー 手みやげだす」
長老「4本の刀をそろえるのじゃ タタラ
刀はただの刀じゃが それを持って集まる人の心は 必ず強大なものになる」
茶々「タタラ これがあんたの歩いてきた証だ」
更紗(お兄ちゃん 時を 巻き戻せなくても その手で植えた苗は 今 確かに 一面の緑になった)
「共に戦おう 新しい国のために!」
更紗(タタラの歩いてきた これが証 これが証!」
角じい「砂漠が揺れている 数十万の灯に」
茶々「ここに揚羽もいてくれたらねえ 正統派男前がいないもんねえ」
熊野コンビ「いてるがな!」
芭蕉「新しい国の姿を見るようじゃな」
角じい「芭蕉先生?」
芭蕉「それぞれの自治区の体表者が こうして 集まって語らって 協力して1つの国を造る
国王のいた今までの日本とも 大統領のいる沖縄とも違う 新しい国の姿じゃ」
ナギ(タタラ いえ 更紗 あなたに言わねばならないことがありました
わたしが運命の子と感じだのは タタラではなくあなたのほうだったのです)
ナギ「でももう言う必要もないですね」
角じい「ナギさま」
ナギ「あの子は 自分で歩いてきました」
ナギ(さあ 行きなさい 運命の子よ あなたの最後の戦いへ)
朱理「オレにまかせろ
でないと 3百年続いた王家をむざむざタタラに滅ぼされちまった
みっともない最後の王として 歴史に残るぞ」
鬱金王「タタラに負けなどするか!」
朱理「負ける なぜなら 民がそう望んでいるからだ」
堺の商人から手紙が届いて…
サカキ「きっと 赤の王です わたしに早く来いと…」
「来る必要はない!
おまえなど なんの役にも立たん
母と2人 せいぜい 土まみれで暮らせ」
本当の意味
「来るなよ サカキ 戦になど来るなよ
母を大切に静かに暮らせ
わかったな サカキ
地下水路はおまえにまかせた
多聞「さかなを どんどんさばくだす ここもさばくだす。くすっ。」
那智「ベタやな…」
ボケボケじいさん「なみあみだぶ」
太郎「やめんかい 縁起でもない」
ボケボケじいさん「となりのぼんさんがゆうてた
しにそうになったらこうせえ て
なんでもええよってめぇのまえにあるもんに
念をこめんねん どーぶつでもくさっぱでも
おさらとかでもええねんて
ほいたら それにのりうつってえ しんだあとも
それといっしょにいきていけるんや
…ちゅうて―――」
「この国の人間は死ぬ準備ができすぎてるわ
潔う死ぬとか じたばたせんとか そんなもんなんも かっこええことあれへん
死ぬことを 考えたらあかんで」
ボケボケじいさん「そう…やなあ」
樹海じじい「行ったら 命縮めるゆうても 行くんかい
命賭けるゆうんやなあ」
太郎「あのな 誰が命ら賭けるんや
生きててなんぼやで
こんなおもしろい時代やん
とことん見て 見て 見てしまわんと!」
多聞「砂漠に緑を増やそう計画…」
那智「んなアホな 苔がなんやねん コケおどしに決まってるわ!」
人々「おー ぱちぱちぱち」
那智「ちゃう ボケたんとちゃう はずかしー」
聖「うん ベタやもんね」