旅路

ナギの出生の秘密については、
ⅰ．瑠璃の章１・寄生虫（パラサイト）
ⅱ．番外編・―――幕の内―――
ⅲ．おまけの番外編―眠れぬ夜―
ⅳ．ＳＡＲＡＤＡ

を読めばわかります。

ⅰ．瑠璃の章１・寄生虫（パラサイト）

　浅葱「僕のすぐ上にもう１人兄王がいたのを知ってる？」
　朱理「知らんわ！」
　浅葱「長兄の黒の王は　愚鈍な大男で
　　　　兄はさしておそれることはないと
　　　　判断したんだろう
　　　　その後しばらく　王妃たちは　女の子ばかり産んだが
　　　　第１王妃だった母がやがて王子を産んだ
　　　　その子は生まれつき聡明で　勉学をよくし
　　　　先を予見する力さえ　持っていたという
　　　　父は恐れた　やがて自分を脅かすのではないかとね
　　　　父王はある日　黒の王と
　　　　狩りのウデを競わせ　森の中で
　　　　誤ったフリをして　矢を射かけた」
　朱理「子殺しはサルでもする」
　浅葱「王子は声もなく　川に沈んだそうだ

この朱理と浅葱の会話から蒼の王の上にもう１人の王子がいたことがわかります。

ⅱ．番外編・―――幕の内―――

浅葱「時々　思うんだけどさ
　　　揚羽って　僕の兄さんじゃないのかな」

揚羽「おまえの兄貴なら　王族だろうが」

浅葱「まあね
　　　１人いるんだ　子供の頃　死んだはずで　でも死体は上がってなくて
　　　もしかして　生きてんじゃないかって…」

揚羽「ふーん　そいつ　生きてたら　いくつぐらいさ」

浅葱「30くらいかな…」

揚羽「わしゃ30かい」

浅葱「…そうだよね　わかってるんだけど」

揚羽「らしくないな　もし兄貴が生きてたら　ひしと抱き合って　感動のご対面でもしたいわけ」

浅葱「そういうんじゃないけど　ただ１人　父も母も同じ兄弟なんだよね
　　　……なんかね……」

ナギの声「浅葱！　そこにいますか」

浅葱「はーい　ナギ？」

ナギの声「ちょっと来て下さい　剣のけいこのスケジュール調整をします」

浅葱「はーい」

揚羽「なんだ　こき使われてんのか」

浅葱「ナギは僕を見張ってるのさ
　　　ナギは苦手だよ＜でもどこか嬉しそうな浅葱＞」

＜楽しそうにナギについていく浅葱を見て＞
揚羽「（ふうん…　苦手…ね）」

そして、

ⅲ．おまけの番外編―眠れぬ夜―

更紗「ねえ　芭蕉先生　教えて
　　　ナギとはどんなふうに会ったの？」
芭蕉「うーむ　そうじゃのう　あれは
　　　わたしが京のはずれの　川でせんたくをしとったらな
　　　大きな桃がどんぶらこっこ　どんぶらこと
　　　その中に　子供のナギが入っとったんじゃ」
更紗「えー？」
芭蕉「ちょっとケガをしておったのでな
　　　手当てをして　暮らしているうち
　　　そのまま弟子になったのじゃよ」
更紗「ふーん……　？　ほんとかな」
ナギ「おや　まだ起きてるんですか」
更紗「ナギ　芭蕉先生に聞いたんだけど　ナギって桃太郎だったの？」
ナギ「そうですよ　芭蕉先生に拾っていただかなかったら
　　　わたしは生きてはいませんでした」

川に落ちた第二王子がたまたま京に来ていた芭蕉先生に拾われるという流れがわかります。

以上のことから、答えは既に出ていますが、決定的な答えが、ＢＡＳＡＲＡ　ＢＯＸ収録のＳＡＲＡＤＡで書かれています。
ⅳ．ＳＡＲＡＤＡ

角じい「わたしゃ常々訊いてみたかったんだが
　　　　あんたは一体そもそも何者なのかね　ナギさま
　　　　あんたは白虎の村の先代の医師が
　　　　遠縁の者で　跡継ぎにすると言って
　　　　連れてきた人だったが
　　　　本当にそうかね？」
ナギ「わたしは　わたし以外の何者でもありませんが
　　　…そうですね　うまれのことを言うのでしたら
　　　生まれた場所にそのまま居たのなら
　　　わたしは　更紗の敵になったかもしれませんね」
角じい「な…なんですと
　　　　王家側の人だったのかね」
ナギ「わたしは　父親に殺されかけた子供でした
　　　矢を射られ　川に落ち　流れ　芭蕉先生に助けられたのです

（中略）

ナギ「芭蕉先生に拾われた時は　瀕死の状態で
　　　高熱が何日も続いたそうです
　　　熱が引いた時　わたしの視力はなくなっていました

（中略）
ナギ「わたしはね　角じい　わたしは　鬱金王の第２皇子でした」
（中略）

ナギ「あの子は　わたしにとって　たった一つの光です　今も」

以上のことから、ナギは、鬱金王の第二皇子だったということがわかります。オーケー？

ちなみに、ナギの「あの子は　わたしにとって　たった一つの光です　今も」は、同じようなセリフがＳＡＲＡＤＡ以外にも、本編中でも出ています。それは、いつなのかというと、沖縄でナギが芭蕉先生と再会したときのことです。
「たった一つの光」
その言葉には、表面的な意味だけではない何か深い意味が隠されているような気がするのですが、どうでしょう。